一瞬のときめきを永遠のパワーに変えて ~なにわ男子「Soda Pop Love」の魅力~

 

 あの日耳にした一曲、目と目が合ったあの一瞬。彼らが与えてくれるそういった「瞬間」に支えられて乗り越えられた日々が、確かにある。

 2020年夏に大阪松竹座から配信された「Johnny’s DREAM IsLAND 2020→2025 ~大好きなこの街から~」で初披露となった、なにわ男子の新曲「Soda Pop Love」。シュワシュワと炭酸がはじける音から走り出すこの曲は、なにわ男子の夏を代表する一曲となるだろう。


 ソーダも夏も、刹那的である。炭酸はいつか抜けてしまうし、夏はあっという間に移り変わっていく。それでも毎年私たちがこんなにも心躍らせてしまうのは、その儚さにきらめきを見つけるからではないだろうか。そしてこれは、私たちがアイドルを応援することの理由にも重なるのではないかと思うのである。

 「Soda Pop Love」の1番では、“君”に恋する“僕”の気持ちが歌われている。

≪君を見るたび 愛おしさ溢れ出す≫
≪生まれ変わったように 自分らしくいられる≫

 これは確かに恋心でもあるし、それと同時に、ファンの気持ちも掬いあげているように思える。この構造は、なにわ男子の代表曲である「ダイヤモンドスマイル」を彷彿とさせる。「ダイヤモンドスマイル」では、“君”の背中を押す“僕”と、アイドルを応援するファンの気持ちが重ねられていた。対して「Soda Pop Love」で歌われているのは、応援というよりむしろ、好きでいることと、そこから生まれるパワーの肯定のように思える。

 そしてこれに続くのが、藤原くんと大橋くんのパートだ。

≪煌めいたこの出逢いは 偶然じゃない≫

 藤原くんの甘く溶けるような歌声と、大橋くんの力強く優しい歌声で伝えられる“偶然じゃない”の響きは、好きの気持ちの肯定として、私たちにあまりに強い力を与えてくれる。

 続くサビではまさに「Soda Pop Love」というような、甘くかわいらしい歌詞が歌い上げられる。ここでは、その中の1フレーズを取り上げたい。

≪届け!このコトバ君に 少し照れちゃうけれど贈るから≫

 このさりげなく混ぜられた“照れちゃうけれど”の言葉に、今目の前で歌い踊る7人が、おとぎ話に出てくる王子様ではなく、私たちと同じ時間を生きているアイドルであることの魅力が込められているように思う。
 彼らがこれからジャニーズの看板と関西の看板の両方を背負って歩んでいくなかで、甘い言葉に照れながらもきちんと伝える、という、親しみやすさとキラキラとした輝きのバランスが、“なにわ男子らしさ”になっていくのではないかと、そう感じた。

≪掴め!このキセキもっと≫

 2番のサビでは“キセキ”が使われていて、ここで思い出すのは先にあった“偶然じゃない”のフレーズである。偶然と奇跡の違いは何か。私は、「結果に意味があるかどうか」だと思う。
 偶然も奇跡も、その発生確率は限りなく低い。“君”と“僕”、アイドルとファンが出会わない世界線の方が多かったはずだ。それでも今こうして出逢った。この出逢いに意味があると、アイドル側が歌ってくれることの優しさに溺れてしまいそうなフレーズだと思う。

 ラストのサビに向けて曲が盛り上がる中、こんなフレーズが耳に届く。

≪つまずいたらいつでも 僕の名前を呼んで≫

 通常この後に続くのは「必ず助けに行くから」という旨の言葉だと思うが、そう歌わない真摯さが眩しい。アイドルとファンの間には越えられない距離があって、アイドルとファンの関係性だからこそ越えられる距離もある。直接手が差し伸べられなくても思い出が背中を押してくれることもあるし、好きなアイドルの努力を見て力が湧いてくることもある。
 あなた達の存在が私の力になっている。この事実を、7人が分かってくれている、そんな気がして、私はこのフレーズが大好きだ。

≪目と目 手と手 重ね合って 終わらない世界に行こう≫

 コンサート会場や舞台ホール、あるいは画面の前で感じた、ぐらりと視界が揺れるような感動、ぴりぴりと指先に走る緊張感、想いが伝わったと思わざるを得ないような瞬間。私たちはそういう一瞬を抱きしめて生きている。それはずっと胸の中に仕舞われていて、時折取り出して見つめて、そうしてまたそっと大切に飾る。きらめきは決して失われることなく、永遠になる。
 これが、“終わらない世界”なのかもしれない。

≪2人なら乗り越えてゆけるから 人生の苦さも悲しみも≫

 このフレーズは、文字に書き記してみると、平均年齢が20歳前後のデビュー前のアイドルグループに歌わせるには、少し渋い歌詞のように感じる。しかし、この感覚は一度目ではない。

≪一人じゃ辛すぎる時でも 二人で居れたら 前を向ける≫

 これはなにわ男子のオリジナル曲「アオハル-With U With me-」の歌詞である。この曲を初めて聞いた時も、アオハルというタイトルに対してやけに渋いフレーズだと思っていた。

 炭酸がはじけるソーダのような、必ず終わりがある青春のような、一瞬一瞬のきらめきをくれるアイドルが、”人生”という永遠のような時間に寄り添っていく。これが、なにわ男子が目指すアイドル像なのかもしれない。
 その決意のなんと頼もしいことか。私はなにわ男子のファンになれて本当によかった。

 眩くて、刹那的で、永遠に抱きしめていたいような瞬間をありがとう。


 アイドルを応援する全ての人に、「Soda Pop Love」が届きますように。